ホテルで4時間放置されたヤタが見つけた「怒りが愛に変わる瞬間」~彼を許せないあなたへ~

こんにちは。

心理カウンセラーのヤタです。

昨日、心理学講座「許しの心理学」を開催しました。

アシスタントを務めるふみちゃんと、盛り上がりながら、楽しく開催してきました。

音声アーカイブはこちら💁‍♂️

講座の中で、こんなお話をしたんです。

「特定の誰かを許せない…。そんなときは、他の誰のためでもなく、自分のために許していきましょう」と。

そして、その有効な手段の一つが「視点を変える」ということです。

「相手はどんな気持ちだったんだろう?」
「相手はどんな想いを抱えていたんだろう?」

そこに目を向けられるようになると、不思議なくらい簡単に、許しのマインドが手に入ります。

具体的には、

・なぜ、相手はそんなことをしたのか?
・それをせざるを得ない理由は、何だったのか?

ここに焦点を合わせていきます。

とはいえ、これだけだと、ちょっと分かりにくいですよね。

なので今日は、私自身の実体験を使って、お伝えしたいと思います。

遡ること、あれはコロナ禍の真っ最中。

GoToトラベルキャンペーン(最大50%オフ、一人最大2万円割引)という、旅行業界を救うための政府主導キャンペーンが始まりました。

旅行好きの私にとっては、まさに神キャンペーン。

迷うことなく、キャンペーン初日、東京のハイブランドホテルに宿泊予約を入れたんですね。

ずっと前から泊まりたかった、憧れのホテル。

めちゃくちゃ、楽しみだったんです。

当日。

ホテルは土曜日ということに加え、GoToの追い風もあって、館内はかなりの混雑。

ロビーには、チェックイン前にも関わらず、たくさんの人で溢れ返っていました。

私が考えた予定は、早めにチェックインして、ラウンジでお酒を飲みながら仕事を片付けて、優雅に過ごすプラン。

そんなことを考えながら、チェックイン時間の15時、満を持してフロントへ向かったんです。

ところが、フロントには長蛇の列。

やっとの思いで順番が回ってくると、スタッフから一言。

「お部屋がまだ清掃中ですので、ラウンジでお待ちいただけますでしょうか?」

カウンターを見ると、紙のクーポン券を一枚一枚数えたり、スタンプを押したりしながら、必死で対応しているスタッフの姿。

「仕方ないか…」

私はラウンジに移動して、ノートパソコンを開きました。

仕事に集中していると、時間はあっという間に過ぎて17時。

17時からはラウンジのカクテルタイム。

スタッフが予約の有無を確認しに来て、私はまだチェックインをしていなかったため、フロント横の待合室へ移動することに。

仕事や作業はまだまだ残っていたので、ここでも没頭しました。

ふと時計を見ると、18時30分。

チェックインから、すでに3時間30分が経過していました。

「あれ?まだ部屋の連絡、来ていない…」

そして、見渡してみると、待合室に溢れていた人たちが、いつの間にか消えていて、ヤタ一人ぼっち。

「これって…放置プレイってやつ?」
「さすがにヤバくない?」

不安になって、フロント横のスタッフに声をかけ、状況を確認します。

チェックインカウンターの表示を見ると、チェックイン待ちは60人。

別の待合室には20組が待機中。行列はまだまだ収まる気配がありません。

ところが、スタッフに伝えてから、30分が経過しても、何の返事もない。

時計を見ると、19時。

チェックインしてから、すでに4時間。

「いやいや、4時間待ちはヤバくない?」
「もう一度確認しないと、いつまで経っても部屋に入れないかも」

不安と焦り。
朝から何も食べていないので、お腹はペコペコ。

いよいよ、我慢の限界でした。

意を決して、フロントに向かう私。

正直に言いますね。

このとき、心の中はかなりの怒りでいっぱいで、「クレーム言ってやろう(怒)」と思っていました。

そのときです。

フロント前まで歩いていくと、明らかにスタッフとは違う身なりの男性の、フロアマネージャーらしき人物を発見。

その人物は、ヤタのいた待合室へ入っていきます。

慌てて待合室に戻ると、マネージャーは私の隣にいた夫婦と話し始めました。

聞こえてくる内容によると、その夫婦も私と同じく4時間待ち。

そして始まる、激しいクレームの嵐。

私は、隣の夫婦の話が終わった瞬間を狙って、声を上げました。

「あのー、私も15時からチェックインを待ってるんですけど、どうなってるんですか?(怒)」

怒りのクレームを、マネージャーにぶつけたんです。

マネージャーは「大変申し訳ありません。すぐに対応します」と言い残し、奥へ消えていきました。

15分後。

再登場したマネージャーは、まず隣の夫婦に、ひたすら謝罪を続けます。

夫婦
「来週も予約してるんだけど…」
「これって最低予約保証に違反してるんじゃないの?こんなに待たされて、何か補償してくれるんだよね!」

マネージャー
「誠に申し訳ありません」
「補償はちょっと致しかねまして…」

何度も謝罪の言葉を述べて、カードキーを差し出すマネージャー。

旦那さんはまだ何か言いたそうでしたが、奥さまが必死になだめて、カードキーを奪い取るようにして、立ち上がっていきました。

その光景を、真横で見ていた私。

ふと、あることに気づいたんです。

「このマネージャーさん、今日一日で、何回頭を下げたんだろう・・」

「何度「申し訳ございません」と謝罪したんだろう・・?」

ホテルマンになるくらいだから、本来はお客様の笑顔が大好きなはずなんです。

それなのに、状況のせいで、満足な接客やおもてなしができないし、自分の力では、どうにもならない。

今日のために、シミュレーションだってしただろう。

それでもオペレーションが上手く回らないのは、こういう初日にはよくあること。

おそらく、このマネージャーも、上司には怒られ、お客様にはクレームを言われ、部下に当たることもできない。

だって、見渡してみても、サボっている部下なんて、一人もいないから。

だとしたら・・。

このマネージャーは、今、どれだけのやるせない気持ちを抱えているんだろう。

言葉にできない強烈な罪悪感や思いを、どれほど感じているんだろう…?

そう想像したとき、ふっと気づいたんです。

このマネージャーに今、必要なのは、クレームや説教じゃないよね。

そして、自分の感情をぶつけて、スッキリすることも、もう望んでいない自分がいる、と。

どうせ言葉を交わすなら、

「マネージャーの、良い意味でびっくりする顔が見たい」

そう思ったんですね。

そう思った私は、必死に考えました。

このマネージャーが、思わず驚くような言葉ってなんだろう…?って。

そして、ある言葉が、ふと浮かんだんです。

マネージャーが、私の前に来て、深く頭を下げます。

マネージャー
「誠に申し訳ありません」
「せっかくお越しいただいたにも関わらず、お待たせしてしまって…」

ヤタ
「仕方ないですよね。」

「だって、急にこれだけのお客様が一気にいらっしゃったら、対応しきれないですよね」

「〇〇ホテルさん、とても人気で評判も良いですから、こうなるのも仕方ないですよ」

「理屈ではわかっていても、できないことって、ありますから」

その瞬間。

マネージャーは、ハッとして、私の顔を見たんです。

おそらく今日、待ちぼうけを食らった客から、こんな言葉をかけられたのは、初めてだったと思います。

きっと、心の中では、こう思ったはずなんです。

「ああ、この人は、俺の気持ちをわかってくれるんだ」

「そうなんだよ。本当はおもてなししたいのに、できないんだよ…」

「たくさんのお客様を笑顔にして、『また来たい』って言ってもらいたいのに、今日はそれができないんだよ」

「本当に、申し訳ない」って。

人間って、不思議です。

自分の気持ちを誰かにわかってもらえたと感じると、心がふっと軽くなる。

そしてそれと同時に、私自身の中にあった怒りやクレームの気持ちも、すーっと昇華されて、見事に消えてしまったんですね。

これが、つまり「許し」を選択した、ということなんです。

「許さなきゃ」という義務感からではなく

「マネージャーを良い意味でびっくりさせたい」
「自分自身が、良い気分でホテルを楽しみたい」

そういう、前向きな気持ちから自然と選んだ「許し」だったんです。

許しというのは、本来、自分が自分自身に戻るために選択すること。

逆に言えば、許せないときは、許さなくてもいいんです。

そして、許すということは「罪を憎んで人を憎まず」ということ。

4時間待たせたホテルのオペレーションは、もちろん良くないし、改善しなければいけない。

でも、目の前のマネージャーを責めるのは、それとはまた別問題。

その視点に立てるようになるには、こう問いかけてみてください。

「なぜ、相手はその行為をしなくてはいけなかったのか?」

「それをしなければいけなかった、本当の理由は何か?」

この視点を持てるようになると、相手を理解でき、結果として、許しやすくなっていきます。

「誰かを許したいときは、自分を許すとき」
「誰かを許せないときは、自分を許せないとき」

許しがテーマになるとき。

それは、あなたのマインドが大きく成長し、より大きな愛を選択しようとしているサインかもしれませんね。

それでは。

P.S. マネージャーとのやり取りの、その後の話

人は、自分の気持ちを理解してもらうと、相手のために何かしてあげたくなる生き物。

そのまま部屋に案内されそうになったタイミングで、私は思い切って、聞いてみたんです。

ヤタ「あのー、ずっと待ちぼうけだったので、お腹ペコペコなんですけど、ウェルカムギフトでお菓子ありますか?」

フロントでおつまみでももらえたらくらいの、軽い気持ちでした。

ところが、返ってきた言葉は、まったくの予想外だったんです。

マネージャー「あの、レストランのお席を確保しておりますので、そちらへどうぞ」

えっ、レストランって、さっき見たら満席だったけど?

それに、ホテルのレストランって、お高いんでしょ…?

でも、ご好意だし、後には引けないよね。

そう思いながら、聞いてみたんです。

「レストランでクーポン使って、支払えばいいですか?」

すると

マネージャー

「いえ、今回は私どものミスでございますので、お代は結構です」

「どうぞお楽しみください。本当に申し訳ありませんでした」

「お好きな物を、お好きな分だけ、食べて楽しんでいただければ…」

えっ?マジですか?

ということで、私はレストランで、夕食をご馳走になったのでした。笑

「許す」というのは、相手のためじゃなく、自分のために。

そして、その選択は時として、予想もしなかった、温かなギフトを運んできてくれるのかもしれませんね。

誰かを許したいのに、許せない時は、誰かの力を借りる時。

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